自由学園同学会

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前田農場長による那須農場の近況報告

2017年2月18日

1月14日、自由学園女子部講堂にて新年総会が行われ、その中で前田匡彦那須農場長から近況報告がなされた。同学会としてもここ数年、復興支援を続けてきた那須農場が今後どのよう展望を持っているのかを知る良い機会なので、前田農場長の報告内容全文を掲載して紹介する。

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皆様、こんにちは。自由学園那須農場で場長をしております、前田です。
日頃より同学会の皆様には、多大なるご支援ご協力を受け賜り、職員を代表しまして厚く御礼を申し上げます。また2年前に私が農場長へ就任をした年にもお招き頂き、スピーチをさせて頂きましたが、今回もこの場をお借りいたしまして、3年間の那須農場の歩みをお伝えさせて頂きます。

当時、実績も経験も浅く、自由学園の卒業生でもない私の場長就任には、組織内にも一抹の不安と疑問の声があったとは思います。いまだ記憶に新しい、2011年3月11日に起きました、東北地方を中心に襲った東日本大震災。あれからもう6年が経とうとしています。

那須農場も震災直後に発生した停電により、搾乳機器が使えず、夜通し発電機を動かしながら、搾乳と搾った牛乳を冷やす機械を動かしていたのを思い出しますし、その後、福島第一原発事故による、放射能の影響で、牧草等の自給飼料の破棄、または摂取制限の措置が取られました。こうした問題に加え、自由学園としましても、那須農場への学生の活動自粛の措置が取られた事は、致し方ない事とは言え、自由学園に関わる全ての方々へ、大きな打撃になったのは事実です。

これら様々な問題を抱えた状態での私のスタートですから、誰しもが不安になるのは当然の事と思います。私も3ヵ年事業計画を立ち上げ、農場再建を行ってまいりましたが、必ずしも順調でなく、これまで数々の失敗や、思うように計画が進んでいかない葛藤がある度、責任と重圧に押し潰されそうになりました。

そんな時、いつも私の支えになってくれたのは、私の家族であり、共に働く職員、そして那須農場復興支援室の皆様でした。時に計画を強引に進めるがあまり、無茶な要求や、妙なこだわりを強要した事もあったと思います。そんな私を信じて皆様が全力で支えて下さったからこそ、今日まで那須農場が存続する事ができたのだと思います。

皆様からのご支援ご協力を受け、那須農場は着実に経験と実績を積み上げていく事ができ、今年度は事業計画の結果として、皆様にいくつかご報告を致します。

まず那須農場は、今もしっかりと生きています。経営の主軸である酪農では、牛の飼養管理方法を一から見直しをしました。牛の健康な状態を保ち、さらには潜在能力を引き出してあげる事を目標にすることで、結果として牛乳の生産量が増加し、今年度は那須農場70年余りの歴史でも過去最高の出荷量となる見通しです。また順次古くなった施設の修繕や環境美化にも力を入れ「魅せる農場」を合言葉に、たくさんの方々に来てもらい、感動を与えられるよう、職員一同努めております。

次に、那須農場は自由学園に依存することなく、自らの足を地に着け、そして歩みを始めています。現在は時間帯放牧を導入し、餌に遺伝子組み換え飼料を使わない事での付加価値ある牛乳の生産をしています。この牛乳は関東圏内120店舗のイトーヨーカ堂にて、「こだわり酪農家の那須高原ノンホモ牛乳」として販売しております。また今後は六次産業としてアイスやチーズなどの商品化を念頭に、現在計画を進めております。

そして那須農場が存在する上で重要な「教育」については、今後周辺地域のこども園の幼児達や小中学校等の教育機関、向けた様々な教育の形を提供していきます。現在は、周辺の中学生を対象にした職業体験プログラム「マイチャレンジ」への参加や、不登校の子供達を支援する施設とも協力関係にあり、毎年希望する子供達の体験受入を行っています。この活動の先にある姿としては、私が理想とする「酪農」と、創立者の思いである「教育」を結びつけ、さらには地域に根ざした産業にしていく事が私の願いです。

最後に、那須農場は自由学園のものでもありながら、皆様一人ひとりのものでもあるという事です。3年間、私なりに考えた最善の策を講じて農場再建を行ってまいりましたが、その間たくさんの方々と出会い、那須農場に対する様々な思いをお聞きしました。今はまだ皆様の思うような姿ではないとは思いますが、那須農場はようやくスタート位置に立つことが出来ています。

これから先、私からお伝えしたい事は「助けてください」とか、「守ってください」という事ではありません。
まず遊びにいらして下さい。遠くて来られない時には暖かく見守って下さい。そして何かを感じられた方は、那須農場復興支援室への参加をお願い致します。私と共に那須農場を発展させていきましょう。

 

広報室 浅野 友介(47)

 

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